忙しい毎日でも自分を取り戻す時間。ママパパのための「ながら」マインドフルネス
忙しい毎日で「自分」を置き去りにしていませんか
複数の子育てに追われる日々は、まさに時間との戦いかもしれません。年齢が離れたお子さんがいれば、それぞれに合わせた関わり方が必要になり、さらに忙しさは増すことでしょう。朝起きてから夜眠るまで、自分の時間どころか、ゆっくり呼吸をする暇もないように感じられることもあるかもしれません。
いつの間にか自分のことは後回しになり、「このままで大丈夫なのだろうか」「何かに追われている」という漠然とした不安や焦りを感じることもあるのではないでしょうか。かつてはあった心の余裕が失われ、「自分」という感覚すら薄れてしまう。それは、多くのママパパが経験しやすい状態です。
なぜ「自分の時間」と心の余裕が大切なのか
子育ては、子供たちの成長を見守る喜びがある一方で、予期せぬ出来事や対応に追われることの連続でもあります。心の余裕がない状態では、些細なことでイライラしてしまったり、子供の言動に冷静に対応できなかったりすることが増える可能性があります。それは、親自身にとっても辛いことですし、子供たちとの関わり方にも影響を与えかねません。
自分の心にスペースを作ることは、子供たちの個性や状態をより深く理解し、共感を持って向き合うためにも非常に重要です。では、どうすればこの忙しさの中で、心の余裕を取り戻し、「自分」を大切にする時間を作ることができるのでしょうか。
特別な時間はいらない。「ながら」でできるマインドフルネス
そこで提案したいのが、日常生活の中で無理なく取り入れられる「ながら」マインドフルネスです。マインドフルネスとは、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価や判断をせずにただ観察すること」と説明されます。聞くと難しく感じるかもしれませんが、特別な場所や長い時間を必要とするものではありません。
例えば、皿洗いをしている時に水の音や手に触れる泡の感触に意識を向けたり、洗濯物をたたむ時に衣類の肌触りに意識を向けたりすること。これらはすべて「ながら」マインドフルネスの実践と言えます。完璧に行う必要はありません。「少しだけ意識を向けてみる」という感覚で十分です。
日常で試せる「ながら」マインドフルネス実践例
忙しい毎日の中でも、意識を向ける対象はたくさんあります。いくつか実践例をご紹介します。
- 食事中の「ながら」マインドフルネス: 食事をする際に、一口ごとに食べ物の味、香り、舌触り、噛む音などに意識を向けてみます。子供たちの世話をしながらでも、自分の口に運ぶ一口だけでも意識してみると、感覚が研ぎ澄まされるのを感じられるかもしれません。
- 移動中の「ながら」マインドフルネス: 家の中や近所を移動する際に、足の裏が地面に触れる感覚、体の動き、呼吸に意識を向けてみます。目的地に急ぐ気持ちはあっても、その一歩一歩の感覚を味わってみるのです。
- 家事中の「ながら」マインドフルネス: 掃除機をかける音、拭き掃除をする手の動き、洗濯物を干す時の風の感覚など、普段は無意識に行っている家事の動作や五感で感じられることに意識を集中させてみます。
- 子供といる時の「ながら」マインドフルネス: 子供の笑い声、泣き声、話す声、触れた時の温かさ、そしてその時のご自身の体の感覚や呼吸に意識を向けてみます。評価や判断を挟まず、「今、子供が笑っているな」「自分はこんな風に感じているな」とただ観察します。
これらの実践は、数秒でも数分でも構いません。たとえ注意がそれてしまっても、「あ、別のことを考えていたな」と気づき、再び今の瞬間に意識を戻すだけで良いのです。その「気づき」こそがマインドフルネスの核となる部分です。
大切なのは「完璧」ではなく「意識」を向けること
「ながら」マインドフルネスは、忙しい親御さんのためにあります。「全てを完璧にやろう」と気負う必要は全くありません。むしろ、「今日は皿洗いの最初の1分だけ意識してみよう」「子供の寝顔を見ながら、自分の呼吸を3回だけ数えてみよう」というように、できることから、無理なく続けることが大切です。
このような小さな意識の積み重ねが、日々の忙しさの中に自分を取り戻す隙間を生み出します。一瞬でも現実に立ち止まり、五感や内側の感覚に意識を向けることで、自動操縦になりがちな日常から抜け出し、心がリフレッシュされるのを感じられるかもしれません。
「ながら」マインドフルネスがもたらすもの
「ながら」マインドフルネスの実践は、すぐに劇的な変化をもたらすものではないかもしれません。しかし、続けていくことで、以下のような変化が期待できます。
- 心の落ち着き: 今この瞬間に意識を向けることで、過去の後悔や未来への不安から一時的に離れ、心が落ち着きやすくなります。
- 自己理解: 自分の感情や体の感覚に気づきやすくなり、自分自身の状態をより深く理解できるようになります。
- 集中力の向上: 今の瞬間に意識を集中する練習をすることで、他のことにも集中しやすくなる可能性があります。
- 子供との質の高い関わり: 自分の心に余裕が生まれることで、子供たちの言動に冷静に対応できたり、共に過ごす時間をより意識的に味わえたりすることが期待できます。
忙しい毎日の中で、自分を取り戻す一歩を
「ながら」マインドフルネスは、特別な「自分の時間」を作るのが難しい親御さんにとって、日常をそのまま活かした実践法です。何かを「やめる」のではなく、普段「やっていること」に少しだけ「意識を加えてみる」ことから始められます。
忙しい毎日の中でも、ほんの一瞬でも自分自身に意識を向ける時間を持つこと。それが、失われがちな心の余裕を取り戻し、子供たちとより穏やかに、より深く向き合うための大切な一歩となるでしょう。今日からでも、ぜひ「ながら」マインドフルネスを少しずつ試してみてはいかがでしょうか。